今月のコラムは少し遅くなってしまって、申し訳ありません。理由など特にないのですが、なんとなく…
桜に気を奪われていたかも…

 先日、コラムを見てくださっている方のから、『コラムの中で<第二関節>と表現しているのは、<第一関節>ではないだろうか?』 とのメールを頂きました。全くその通りで、私が今まで<第二関節>と書いていたのは、<第一関節>の誤りでした。お詫びして、訂正いたします。
ご指摘ありがとうございました。これからも、間違いや疑問点があったら、どしどしお知らせ下さい。宜しくお願いします。

 さて、ボーイングのターンの話です。
前回のコラムで確認したように、[黄色の台形・写真18・19]の部分、特に言うなら
@≪オレンジのラインと弓の白いラインとの関係を絶対に変えない事。写真20・21≫
僕はボーイングの骨太の部分は、手首までではなくてオレンジのラインまでと思っています。
 コラムの最初のほうに書いた、
A≪(弓を持つ指達)は道具である弓との接触点を変えない。≫ 
の@とAの条件を満たし、なおかつ素晴らしいターンをするのは、オレンジのラインの柔らかさにあります。柔らかさというよりは、横にも縦にも対応する、ロールスロイスのクッションみたいな物だと思います。縦方向に変化するのは腕の重さなので、この事はまた後のコラムに書きます。とりあえず、今回は横方向です。

          


          

骨太のボーイングで、UP BOW ≪ 写真 20 ≫ からDOWN BOW ≪ 写真 21 ≫ にした時、オレンジのラインが白いボーイングのラインとの関係を変える事無く、横方向にずれます。ずれるのですが、これは自分から意識的にずらすのではなくて、弓の摩擦による抵抗によって結果的におきるものです。このわずかな弓の摩擦による抵抗にも変化してしまう位に柔らかい、オレンジのラインが必要なのです。これは、努力で感じるものでなく感覚なので、ある時 『あっ、これか!』 と感じられてしまったら、それで一生使えます。意識としては、短いボーイングのUPとDOWNを繰り返しながら、オレンジのラインのリキミを取り除き、フリーにしておく、ニュートラルにしておく、弓の抵抗のずれの成すがままにしておく、弓の抵抗のずれを楽しむ、といった所でしょうか。
 楽器は違いますが、ソリストクラスのヴァイオリニスト達は99%このターンをしています。いつかテレビなどで見かけたら、この事を気にしてターンの部分を見てください。
その柔らかいオレンジのラインでも腕の重さはしっかり伝わります。

 このターンで、禁止事項があります。
≪ 写真 20・21 ≫ の緑のラインの手首は動かしてはいけません。チェリストがターンをする時、なんとなく手首あたりを柔らかくしているイメージがあるのではないでしょうか?現に多くのチェリストがターンの時、手首を動かしているのを見かけます。ターンの時、手首を参加させるとどうなるか?手首の参加により、小さな円運動が起き、一瞬弦と弓の直角が外れてしまいます。ヴァイオリンの方達もそうですが、ターンの時に弓先がクルッと廻ったり、一瞬グラッとゆれてターンをする方を見かけます。その結果、音色の変化が発生します。これは、ターンの時の手首の参加が原因です。

 もう1つ、多く見られるのが、弓の持ち替えです。
手首がターンの時、参加してしまうのですが、直角を外すのが許されないので、瞬時に持ち方を変えてしまうターンです。俗に言う、(投げる)です。これは、初心者よりもベテラン奏者に多く見られます。一見、素早くターンしてかっこいいのですが、人間が道具を使う時の大原則に反していますし、結果、ターン時にどうしても音の変化を生じてしまいます。

 ターンはオレンジのラインの弓に対して平行移動だけが許されます。平行移動ですから、どんなに横にずれても、弓の弦に対する直角は100%保証されています。骨太のボーイングに支えられた、オレンジのラインこそターンの生命線なのです。
感覚の問題なので、うまく伝わったか心配ですが、この話は次回も続きます。



Yoshihiro Yamazaki
2002.4.2.