ボーイングのメカニズムCで説明したターンの時のズレは、抵抗が大きければ大きいほど、当然ズレが大きくなります。その抵抗の大きさを決めるのが、すなわち腕の重さです。

 よく、チェロは楽器が大きいから、女性や子供には弾くのが大変なのでは・・・などと言う事を耳にしますが、それは当たっていません。音量の大小は右手の力で決まるのではなく、腕の重さを弓に乗せられるコツを知っている人が、楽に立派な音を出すことが出来ます。

 初心者の生徒のレッスンの時に、「フォルテほど楽なものは無い。ピアノはとても疲れる。」 と言うと、びっくりします。でも、実際に私の右手の重さを、生徒の手に感じさせてあげると、納得するようです。私の手を生徒の手に乗せて、右肩の3つの筋肉 (肩の腕を支える筋肉は3つあるそうです) を緩めて、腕の重さを全部かけて 「これがフォルテ。」 右肩の3つの筋肉を張って、腕を持ち上げて軽くして 「これがピアノ。ピアノは、腕を持ち上げていなくてはいけないので疲れます。」 と説明します。

お恥ずかしい話ですが、正直に白状すると、私が本当に腕の重さを使ってチェロを弾けるようになったのは、新日フィルの主席になって真剣にボーイングの事を考えてからでした。
前にシュタルケルが来日した時、生徒の1人が公開レッスンに行ったので、後日どうだったのか聞いたところ 「先生と同じ、腕も重さの事しか言わなかった。」 と申していたのを覚えています。

 ボーイングのメカニズムC≠フターンと今回の重さを乗せられるコツをつかむと、右手は別世界になります。前回よりもっと感覚的になるので、うまく説明できるかどうか解りませんが、どうしたらいいのか来月に説明します。



Yoshihiro Yamazaki
2002.6.1.