スタッカートと一字しか違わないので、なんとなく混同している方もいると思いますが、スタッカートとスピッカートは、はっきり違います。

スピッカートには、個人的に特別な思い出があるので、ちょっと書きます。
プロを目指しているチェリストにとって、ちょっと恥かしいほろ苦い思い出です。
私は音楽大学を5年かかって(山狂いをしていた)卒業した後、当時本当に難関だった日本フィルのオーディションに挑みました。オーディションは、自由曲を一曲演奏後、新曲視奏≠ニ言っていわゆる初見≠ナオーケストラの色々なチェロパートを十数曲弾かされますが、チャイコフスキーの速いパッセージで、スピッカートがうまく弾けませんでした。
やべぇ≠ニ思ったら、当時チェロ首席のTさんが自分の弓を出してきて、「これで弾いてみて下さい。」と言って、T氏のチェロの弓を渡されました。
その弓をお借りして、そのチャイコフスキーの速いスピッカートを弾くことが出来、無事日本フィルに入団することが出来ました。今でも本当にT氏には感謝しています。
入団後、当時コンサートマスターだったG氏のお世話で、直ちに弓を買い換えたのは、言うまでも有りません。

私の経験からも、このスピッカートは弓のバランスが悪いと絶対に飛びません。
値段が高い、安いとも全く関係有りません。スピッカートは、その弓自身のバランスの良し悪しに関係してくるのです。
ですから、弓を選ぶ時の重要な要素の一つになってきます。これだけは、弾かないと解りません。
また、弓を換えた時、G氏が「スピッカートは1、2時間のレッスンでマスターできる奏法だ。」ともおっしゃっていた事を覚えています。
日本フィルに入団後、しゃにむにスピッカートを勉強しました。

Yoshihiro Yamazaki
2003.8.5.