最近、会社の掲示板にピッチカートについてのお問い合わせが何件かあったので、今月はピッチカートについて書きます。

 ピッチカートは、半分は視覚的な要素が大きいように思えます。
客席からステージを見ていて、たしかにピッチカートをやっているのですが、何かピンとこない、音が聞こえてこない、という場合ほとんどが指板の横に親指をつけてピッチカートをしている事が多いのです。
たしかに、テンポが速いピッチカートは、指板の横に親指をつけた方が早く出来ますが、それほど速くないピッチカートでは、親指を指板につけないでください。
ですから指でピッチカートをしたら、「ピッチカート飛んでけ〜」と心で言いながら、ピッチカートの音を腕全体で手首をやわらかく使って、空中に放り出してほしいのです。
その動作は客席で見ているとピッチカートが見える瞬間なのです。

ピッチカートについて具体的に説明すると、ピッチカートは可能なかぎり、駒の方向にスライドしてからはじいてください。その場で横にはじくのではなく、駒の方向にずらしてからななめ上の方にはじきます。
バルトークピッチカートのように、弦を持ち上げて指板を鳴らすピッチカートは別にして、ハーピストになったつもりで優雅に大きく右手を使ってください。

ピッチカートでは左手も大切になります。ピッチカートの時は、左手はしっかりおさえましょう。
指がういているときれいなピッチカートが響きません。
ですからぎゃくに、ピッチカートの音を止めたい時は左手の指をうかせてしまえば、ピッチカートの響きは消えます。
又、オーケストラで弾いていると、ARCOのすぐ後にピッチカートがあるような場合がよくありますが、その時は持ち変えずに、弓を持ったまま中指でピッチカートをします。慣れてくれば問題なく中指が使えるようになりますし、僕はピッチカートは中指でしていました。
ピッチカートは、指の先の肉が多ければ多いほど、厚ければ厚いほどいい音がします。ですから人差指より中指の方がいい音がするのです。
曲の最後とかで、とっておきのピッチカートを一発なんて時は親指でします。
そういう時、よく外国人の指揮者なんかは親指をなめてからするように・・・と半分冗談で言います。
もちろんとっておきのビブラートもお忘れなく。

Yoshihiro Yamazaki
2004.3.6.