2004年2月9日 / 最終更新日時 : 2021年8月26日 ゴーシュ
33. カザルスの練習
先月書いた、重さ・速さ・弾く場所をしっかり自分のものにして、なおかつねばりを出すという、とてもいい練習があります。とてもいい練習なのですが、最初はきっとうまくいかなくて投げ出してしまいたいと思われるかもしれませんが、すべてボーイングの向上の為と思って頑張ってください。
その方法は、なんと全てを同時にしてしまうのです。
ええっ、と思われたと思います。
まず、弓の元を指板の終った辺り (駒側の) 、に置きます。G線なんかが弾きやすいと思います。最初は重さはほとんどナシ、速さもナシ、ですからピアニッシモ。
次第に重さを増しながら、速さも増しながら、そして弾く場所も駒に近づいていきます。弓のちょうど半分に来た所が重さ、速さがピークになり、なおかつ弾く場所も駒の数センチ近くまで寄る様にします。その時がフォルテッシモ。
弓の真ん中を通過したら、さっきと逆で重さもおとし、速さもおとし、弾く場所も駒から離れて指板に近づきます。そして、また元のピアニッシモになります。
そして、アップボーも同じ様にします。10cm弱の大移動です。最初はなかなかフォルテッシモが弓の真ん中にこなくて苦労すると思いますが、練習を続けてください。この練習で弓のねばりが出来ます。
この練習方法は、日本で最初にカザルスの弟子になったS先生から習ったのですが、S先生は「カザルス先生はこのピアニッシモからフォルテッシモの運動を一弓の間に4、5回出来る。」とおっしゃっていました。
さすが世界の超一流はすごいと思いましたが、いまだに信じられません。
Yoshihiro Yamazaki
2004.2.9