新商品 スズキバイオリン肩当てと KUN 比較レポート

2021年4月、日本の老舗バイオリンメーカーの鈴木バイオリンより、新しく肩当てが発売されました。

現在広く普及しているKUNよりも大変安価ですが、どのような製品か、KUNとの違いなど、比較レポートをお届けいたします。

各部品の名称

本記事では便宜上、KUN の部品名称を使っています。

肩当てのパーツ名称

サイズ展開と価格

クンシリーズと鈴木肩当ての一覧

スズキバイオリン肩当て SVS

S M L
1/16 - 1/4
1/2
3/4-4/4
¥3,300

KUN original

color mini mini s L
1/16 - 1/4
1/8-1/4
1/2-3/4
3/4-4/4
¥7,700
¥7,150
¥8,250
¥8,800

*「スズキバイオリン肩当て SVS」は以後、「スズキSVS」と表記。
*「 KUN original 」は以後「 KUN 」と表記。
*「 color mini 」は正式には「 Collapsible Mini」。ここではcolor miniと表記。
*  KUNの3/4-4/4は便宜上、「 L 」と表現します。

スズキSVSは3サイズを展開。価格は一律となっています。

KUNも基本は3サイズの展開ですが、最小のminiは1/16サイズには対応しておらず、Collapsible mini ( color mini )を選択する必要があります。サイズが上がる毎に値段も上がります。

足幅の調節

スズキバイオリン肩当て SVS

S M L
1/16 - 1/4
1/2
3/4-4/4
6 (+4)
5 (6)
6
101~168
154~176
172~200

KUN original

color mini mini s L
1/16 - 1/4
1/8-1/4
1/2-3/4
3/4-4/4
4 (+4)
5
8
8
118~142
140~187
140~187
167~213

* 2段目はエンドメンバーの穴の数の比較です。
* スズキSVSのSと、KUNのcolor miniはエンドメンバーの穴の他、本体側に開いた穴も使ってサイズ調整が可能です。(  )内数字は本体側の穴の数になります。
* スズキSVSのMはエンドメンバーの穴は6つありますが、可動域の関係上、実質調節に使える穴は5つになります。

* 3段目は足幅調整の最短~最長の長さ(mm)の比較です。
* フォークメンバーを差し込む穴と穴の、おおよその距離になります。

KUNの方が、エンドメンバーの調節段階が多いため、個々の楽器に合わせたサイズの微調整が可能です。

パッド ( 本体 )

スポンジの厚み

スズキSVSは全サイズ同じスポンジを使用していると思われ、黒と白の2枚重ねとなっています。

KUNはサイズ毎にスポンジの厚みが変えられています (color miniのみ、かなり薄い作りになっています)。触った感触では、KUNの方が柔らかめです。

パッドの幅

KUNに比べ、スズキSVSの方が幅が若干広めの作りになっています。

鈴木の肩当てSとクンミニ、カラーミニの比較(パッド側)
鈴木の肩当てMとクン-sの比較(パッド側)
鈴木の肩当てとクンの比較(パッド側)

本体のカーヴについて

フルサイズのバイオリンに鈴木の肩当てを取り付けた様子
フルサイズのバイオリンにクンの肩当てを取り付けた様子

* フルサイズに取り付けた図。共にフォークメンバーは一番低くなるように設定しています。

個人的な感想ではありますが、構えた印象では、差はほとんど感じませんでした。

重さ

スズキバイオリン肩当て SVS

S M L
1/16 - 1/4
1/2
3/4-4/4
約50g
約59.5g
約72g

KUN original

color mini mini s L
1/16 - 1/4
1/8-1/4
1/2-3/4
3/4-4/4
約41g
約37.5g
約48g
約58g

全体的にスズキSVSはKUNに比べて重めです。
重めと言っても、10~15g程の差ですので、実際にフルサイズに装着した感じでは、重さの違いは感じられませんでした。

分数サイズのお子様では、重さを感じるかもしれません。

フォークメンバー (脚)

スズキSVSは折り畳み可能

スズキSVSはフォークメンバーをパッド (本体) 側へ折りたたむことが可能です。

肩当てはケース内のネック付近に収納することが多いですが、ケースによってはうまく収まらないことがあるため、脚が折りたためるのは大変便利です。KUNにも折りたたみ式のCollapsibleシリーズがありますが、originalシリーズよりも値段がさらに上がります。

脚を折りたたむことができる鈴木の肩当て

高さ

スズキSVSのエンドメンバーは、全サイズ共通のパーツを使用しています。
そのため、S と M は KUN の S、mini、color mini と比べて、非常に高さが出ることになります。

1/16サイズの楽器に、スズキSVSとcolor miniを装着してみました。フォークメンバーは一番高さが低くなる様に設定しています。

16分の1のバイオリンに鈴木の肩当てを取り付けた様子
16分の1のバイオリンにクンカラーミニを取り付けた様子

写真からも、スズキSVSの方が、明らかに高さが出ていることが分かります。

小さいお子さんは、ブリッジ型の肩当てが高くて使い辛く、スポンジタイプを使っている方も多い位ですので、スズキSVSは1/16~1/8サイズで肩当てをお探しの方にはあまりおすすめできません。

耐久性

KUNにおいても、長年の使用によって下記の様な症状が発生します。

スポンジ : 劣化 (硬くなる、厚みが薄くなる) 、本体からの剥離
フォークメンバー : 楽器接地部分の折れ、ゴムの摩耗
エンドメンバー:破損
スクリュー / ナット : 紛失

これらKUNで生じる症状がスズキSVSでも起こりうる可能性があり、また使用対応年数 (耐久性) がいかほどかは、発売されたばかりですので不明です。

価格差が倍ほどあるので仕方がないですが、全体的な作りはKUNの方がきれいな仕上がりになっています。

総評

スズキSVSは発売したばかりのため、今後製品の改良、仕様の変更など、現行のものと変わっていく可能性がありますので、今後も動向を注視していきたいと思っております。

また、肩当ては楽器の音にも影響を与えます。
音に関するレポートも今後、お送りできればと考えています。

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