19. ボーイングのメカニズム ⑧

ボーイングの移弦で、もう一つしなければいけない事があります。それは、直角の変更という事です。何故、直角の変更が必要だと思いますか?

移弦をする際の弓の角度の変化

それは、チェロの弦は平行ではないからです。ですから、直角の変更が必要なのです。たとえば G線とD線の弦に対する直角は オレンジ・G線黄色・D線 のラインになります。《 写真 30 》

ただでさえ、弦に対して直角で弾くのは、弾いている時の目線ではわからないので大変なのに、その直角を変更しなければいけないのは、もっと大変な作業です。

移弦をする際のチェロの弓を持つ右手の動き

簡単に言うと、G線からD線に移弦する場合は、黄色の矢印の方向 (少し身体の外側) に出してやります。《 写真 31 》

ここで間違えやすいのは、グリーンの矢印の方向に移弦しないで下さい。それですと、直角の変更にはなりません。身体から少し遠ざけるイメージです。D線からG線に下がる場合は当然その逆で、身体に少しひきつけるイメージになります。

移弦の動きは弓元では小さいのですが、弓先での移弦は移動する距離が大きいので大変です。うまくひじを大きく使って移弦して下さい。

来月はクリスマスもあるし、1年間ご愛読してくださった皆様に感謝の気持ちを込めて『チェロ美人』になるためのプレゼントをします。おたのしみに。

Yoshihiro Yamazaki
2002.11.30