02. まずは持ち方・親指編 (トップバッターは親指です)

それでは、私が今までに学んできた事、特に右手(ボーイング)についてお話しましょう。

まず、 ”持ち方について” ですが、トップバッターは親指です。

親指は弓とフロッグ(毛箱)にできたコーナーに、親指が弓に対して45度位になるように押し当てます《 写真 1 》。この45度というのが実は重要で、後にまた出てきますが、45度にすることによって、いやでも手の甲がねじられるように、左に向かざるをえなくなるのです。初心者の方の右手の甲が真上を向いているのを多く目にします。

手の甲が左に向くというのは、重要なポイントの1つです《 写真 2 》。 この時の親指の力を入れる方向は、決して弓に対してではなく、コーナーに向かって押し当ててください。その方向は、親指が自然に能力を発揮できる方向です。力加減は〝強すぎない〟です。 形は《 写真 1 》でも分かるように、第一関節・第二関節とも出してください。力が入りすぎると、どちらかがへこんでしまったりします。この事はかえって親指がずれてしまう原因になります。特に第一関節は伸ばさない事が大切です。左の指もそうですが、伸ばさずに曲げた方が指先に集中して、かえって持ち易くなります。そして、ずれることを恐れないで、〝強すぎない〟です。  

親指を45度に押し当ててチェロの弓を持つ右手
手の甲が自然と左に向くチェロの弓を持つ右手

昔、日本のチェロ界の大御所A氏宅にお邪魔した時の事です。色々な話を伺って、私が「元チェリストでした。」と申し上げたら、「弾いてみろ」という事になって、少し弾きました。(何を弾いたか忘れました。)

弾き終わって、色々感想をおっしゃて頂き、お褒めの言葉の中に親指の形がありました。「私の生徒にT氏(日本で有名なソリスト)がいるが、私がどんなに親指の形を注意しても直さなかったのに、シュタルケルの所に習いに行って、直ぐに親指を注意され、すぐに直した。」と愉快そうにエピソードを話してくれました。皆さんもシュタルケルに直される前に、親指の形にはこだわって下さい。

ところで、親指を放してもボーイングが出来るって知ってました? トルトゥリエも何かの本で「演奏中に親指を放して弾く事がある。」と書いていました。親指があった方が、腕の重さが確実に伝わりますが親指を放して弾く事も遊びとして体験してみてください。

「エッ!! うまく弾けないよぉ。」 「どうしたら弾けるの? 」 方法は次回に……

Yoshihiro Yamazaki
2001.6.30

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