24. ビブラートのヒミツ
先月のビブラートの話でも書きましたが、〝指は柔らかく〟がコツなのですが、コツ中のコツを教えちゃいます。
僕がまだ大学生の頃、自分の演奏をテープに録音して聞くと、自分では一生懸命ビブラートをかけているのに、ビブラートが聞こえないのを本当に不思議に思い、又悔しくもありました。
今思うと、ビブラートの振幅の幅が狭かったんだと思います。〝ビブラートの振幅の幅を思いっきり大きくする〟ビブラートの魅力はこれだと思います。
さて、その方法は第1関節の使い方にあります。
《 写真 35 》は、中指でビブラートをかけようとしていますが、写真のように指先を立てて弦を押えます。この事は大切で、最初から指をねかせて押さえないで下さい。そして、手首を振るイメージで振ります。その時、指全体を出来るだけ柔らかくするのですが、意識するのは第1関節なのです。
第1関節をグニャグニャにして、最後は《 写真 36 》のようになります。第1関節は完全にへこみ指先がめくれあがります。第1関節をペコペコにする感じです。
この形にすると、ビブラートの振幅はとても大きくなり、魅力的な音色になります。テレビなどでソロを弾く演奏家たちがアップになった時、左手の第1関節に注目してください。100%近い演奏家が(特にバイオリニスト)第1関節の柔らかさでビブラートをかけています。
バイオリンの場合、バイオリンを顎に挟んで弦を押えると、指は弦に対して自然に斜めに押える形になり、第1関節が動かしやすくなります。チェロの場合は、バイオリンほど斜めになりませんから、最初は自然に斜めになりやすい形のサードポジション辺りで練習するとやりやすいと思います。
また、この練習はチェロが無くても出来ます。実際僕はチェロじゃなくて机の上などで練習して覚えました。机の上で第1関節をペコペコへこませる練習です。この時のポイントは、そのペコペコが自分のコントロールできるペコペコになるまで練習することなのです。
これが出来れば魅力的なビブラートの完成です。是非このビブラートを習得して下さい。また、よく細かくて速いビブラートしかかけられないチェリストもこのビブラートの意識で直ると思います。このビブラートは素晴らしいチェロの音を保障します。
Yoshihiro Yamazaki
2003.5.1