23. ビブラート

東京に開花宣言が出て、サクラが咲き始めました。サクラが咲くと、なんとなくウキウキするのは僕だけでしょうか。

さて、12月のコラム 【20.ちょっと遅いクリスマスプレゼント 】で、左手の運動の事を書きましたが、皆様は続けていますか? 続けている方は、たぶん今月のコラムを読めばすぐにビブラートがかけられると思います。

今までは、4本の指を弦に接触して振っていただきましたが、今度は指1本にします。かけやすい指としては、中指がいいかもしれません。指1本を接触しながら振ってください。

なれたら、その指で弦を押えて指の先を止めて、腕の動きはさっきと同じ振る運動をします。指の先を止めて、しかし腕は今までと同じ様に弦と平行に、弦に沿うように振るのです。

最初のうちは、指先が少しくらい動いても気にしないで下さい。ぎゃくに、その位指はやわらかくしておくのがコツなのです。人間の指がもし金属でできていたら、このビブラートは出来ません。指の形が変形するからこのビブラートは成立します。指をやわらかく、指の関節をグニャグニャにする位でいいのです。

指の具体的な動きと、コツは来月書きますが、今は〝指を止めて腕を振る〟、これだけで立派なビブラートがかかります。

もし、あまりうまく出来ないようでしたら、(指一本で弦の上をスライドさせる運動) と、(指を止めて腕を振る運動) を交互にやってみてください。だんだん分かってくると思います。間違っても、手の甲や手首をこねてローリングしないでください。腕を大きく振って下さい。決して手首を落としていけません。ぎゃくに、ちょっと手首を上げた方が振りやすく感じると思います。その時の、腕の振り方が2月のコラム【21. ビブラートのクイズ】の答えになります。

指を弦の上に止めて、振る方向は指を押えてから、チェロの頭の方向に振るのです。振るのは、腕を持ち上げるような感覚です。

ビブラートがかかった音を人間が聞いた時に、人間の耳に残る音は、ビブラートの波の高い部分なのです。ですから、正しく音程を取ったら、その音程の下の部分にビブラートをかけるのです。

ですから正解は《 C 》です。

上にかけると、音程が上ずって聞こえますが、演歌や歌謡曲の歌手は上にかけた方が派手に、華やかに聞こえるので、上にかけていますね。今度、ビブラートを気にしながら演歌を聞いてください。

いかがですか? うまくビブラートがかかったでしょうか?来月もビブラートについてかきます。より魅力的な音になるためのヒミツを公開します。

Yoshihiro Yamazaki
2003.4.1

前の記事

22. 左手の形

次の記事

24. ビブラートのヒミツ